おててがくりーむぱん2


「ええ。先日、少しお目にかかったんですけど……」
「ああ!」
佑司はさも思い出したというように、頷いた。


「先日は失礼しました」
「いえ、わたしも取り乱してしまって」
白鳥先生は、顔をあからめて、長いウェーブの髪を耳にかける。


「本当は、皆川先生のご結婚を、お祝いしたいって思ってたんですよ。でもびっくりしてしまって」
「わかります」
白鳥先生は、ほっとしたように、肩の力を抜いた。


「それで、先日、皆川先生ともお話してたんですけど、お祝いの会をやろうと思いまして。もしよろしければ、お友達もお連れになって、ぜひ一緒にお食事でもしませんか?」
白鳥先生が、光恵の手を取る。


「いいですね。ありがとうございます。じゃあ、会社の何人か連れて行きますよ」
佑司はにこやかにそう答えた。


「楽しみですね!」
白鳥先生の顔が、ほころんだ。


「後ほど、皆川先生を通じて、ご連絡させていただきますね。ご挨拶させていただいて、本当によかった」
「僕もです」
「じゃあ、わたしはこれで。皆川先生、おつかれさまでした」


今にもスキップしそうな感じで、白鳥先生が部屋を出て行く。
その後ろ姿があまりにもうかれているので、光恵はなんだか複雑だ。




< 74 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop