木曜日の貴公子と幸せなウソ


それを見送ってから、私は大きなため息をついた。

今、職員室には誰の姿もない。

園長先生は年長クラスで、年長の担任の先生たちと会議中だし、他の先生も自分のクラスで作業をしているはず。


「参ったなぁ……」


自分の席に座り、ボソッと思わず独り言。

会わないようにしていたのに、会ってしまった……。

悔しいけれど、まだ胸がときめいてしまう。

一体どうすればいいんだろう……。


「萌……」

「……夏江?」


頭をかかえて、盛大にため息をついた時、教材室から夏江が戻って来た。

彼女の顔はなぜか赤い。


「萌、貴公子の元カノだったの?!」

「……え?!」


私に駆け寄った夏江は興奮気味にそう言った。

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