木曜日の貴公子と幸せなウソ


無理やりだったから、引きつっていないか少し心配になった。

だけど、先輩は私の顔を見てフッと目を細めて笑った。


「やっぱり、萌の笑顔はホッとする」

「……え?」


私の笑顔は……ホッとする?


「見てると元気になれる」

「え、そんな事は……」

「萌は将来、何になりたいか決めてるの?」


突然、何を言い出すのだろう?

いきなり聞かれても、何も答えられない。


「うーん、特にまだ……」

「萌、子どもは好き?」


決まってない、と言い終える前に、先輩はニコニコしながら遮った。


「え、子ども……?」

「そう、子ども。萌の笑顔なら、子どもも笑顔になりそう。幼稚園の先生とか似合うよ」


先輩のニコニコは止まらない。


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