木曜日の貴公子と幸せなウソ


「いやー、有坂先生はないでしょー」

「えー?何でですか?」

「だってあんなイケメンに彼女がいないわけないじゃない」

「あー、それもそうですね……」


夏江のトーンが落ちる。

言われてみれば確かにそうだ。


「僕がどうかしました?」

「へ?あ、有坂先生!」


階段を上りきったところに、有坂先生の姿があった。

ちょうど体操教室の時間が終わり、子どもたちをホールから見送ったところだったらしい。

これには美雪先生も夏江も、そして発言をしていない私も驚いて固まってしまった。


「あー、いえ、有坂先生みたいなイケメンに彼女がいないわけないって話をですね……」

「ハハハ。イケメンだなんてお世辞はいらないですよ」


美雪先生が答えると、有坂先生は笑いながらそう言った。

交わし方も爽やかだ。


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