ちっぽけな距離
side 梓

「はあ…っ、は…」

なによ…京君のばかっ‼︎

私はっ…。

「おい」
「…」

霜月君…。

「危ないだろ⁇こんな暗い中」
「…ほっといてよ…霜月君には分かんないよ…」

私の気持ちなんか…。

だってそうでしょ⁇

ほしいと思わなくたっていくらでも女の子なんか手に入るじゃん。

彼女がほしいとか、誰かそばにいてくれる人がほしいとか。

そんなこと思ったら、その通りに皆が動いてくれるじゃん。

「なんだよそれ」

モテる人には分かんないよ。

こんな私の、長年の想いなんて。

「…ひっく…、とにかく霜月君には迷惑かけられないから…ごめ…」
「なんでこんな時こそ俺を頼ってくれないわけ⁇いるじゃん、俺が」
「…」
「俺だってな。話聞くことくらいできるんだよ。ほら。そこ座れ」

私はベンチに座る。

「で、なに⁇お前は今なに考えてんの⁇」
「…京君が分からないよ…私、諦めた方が良いのかな…」
「…そんな小さな想いだったのかよ」
「え⁇」
「そのお前が言う、ずっと好きだったって想いは」
「…でも京君は私のことなにも思ってないもん。だってそうでしょ⁇京君が…あんな女の子と楽しそうに…」

それに、守るよ、なんて…。

なにを守るの⁇

私にそんなこと言ってくれた覚えないよ⁇

「そう言うこと…」
「へ⁇」
「お前それ…ヤキモチだろ」
「へっ⁇や、ヤキモチ…」
「まあ、お前だけじゃないんじゃねーの⁇」
「⁇」
「あいつも…思ってたりしてな、そんなこと…」

ボソッとそう呟く霜月君。

「しばらく俺のとこにいれば⁇」
「え⁇」
「気まずくね⁇北見といたら」
「…でも…」

気まずいかもしれない…だけど…。

「俺、あんたの事好きだわ」
「…へっ⁇」
「まぁ、そうなんだけど。俺が入る隙なさそうだしな」
「…霜月君⁇」
「こんな俺でも女に困ったことは始めて」
「え⁇」
「だから。お前が北見の事めっちゃ好きって分かってたから…お前だけは…手に入らなかった」
「…」
「結局そうだよ。こんなんだから俺、いつまでたっても本当に欲しいものが手に入らないんだ」
「…」

そうなんだ…。

私てっきり…。

「でも。お前の気持ち分かったからもう良い」
「…」
「お前はお前で、頑張れば⁇…俺も頑張るから」
「ふっ」
「なんだよ」
「霜月君って、どんだけ不器用なのよ」
「はあ‼︎⁇」
「変な人ーっ」
「…いつもの梓っちに戻ったな。やっと笑った」
「ふぇ⁇」
「ま、なんかあったら俺を頼れよ。北見は俺のライバルだけど、お前は違うからな」
「…ありがとう‼︎霜月君のそんなとこ、好きだなぁ」

霜月君、なんだかんだ言ってやっぱり良い人じゃん。

「やめろ」

ふふ笑

ありがとう、霜月君。

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