狙われし姫巫女と半妖の守護者


「あー、その、じいちゃんがこの手の話大好きでさ、小さい頃すりこまれるように聞かされたんだよ」

やっと打ち明けた彼は、照れくさそうに苦笑い。

「そうだったんだ。おじいちゃん、おもしろいじゃん。私は、この姫巫女神社の娘なのに、なんにも知らないなんて……」

「えっ、鈴代さんって、家が姫巫女神社なの?」

九条くんの問いかけに、力なく頷いた。

つくづく、自分はなんにも知らないんだと痛感して、ごろんと頭を垂れる。

こつんと額があたったテーブルがひんやりと冷たい。

姫巫女神社の娘なのに、お父さんはなんで、なんにも教えてくれないんだろ……。

尖らせた唇はテーブルに押し付けられて、へんてこなへの字口になる。

私は不甲斐無くてしかめっ面で唸り声をあげる。

そんな時、隣から聞こえた控え目な笑い声。

「鈴代さんって、かわいいね。やっぱり、姫巫女神社の人だからかな」

「へっ?」

かわいいって言葉に、頬がかっと熱くなって、横を向きながらさっと体を起こす。


< 85 / 568 >

この作品をシェア

pagetop