僕を止めてください 【小説】
診察券を受付に出し、予約の確認をした。これからなにが起きるかよくわからないが、身体がなんだかフワッとしていた。番号札を貰い、少し移動して神経科の待合室のソファに座った。待っている間、あまり考えることはなかった。午前中の入学式で疲れていたのか、ウトウトしていた。こんなことなら教科書を全部ロッカーに預けないで、予習に1冊くらい持ってくればよかったと思った。
「岡本さん…岡本裕さん…2番の診察室へどうぞ」
ウトウトしている中、不意に名前を呼ばれて急に目が覚めた。診察室に入ると、前回の検査で僕の担当になった神経科の医師がカルテを見ながら看護婦さんに指示を出していた。今日も心電図を取るということで処置室に案内され、簡易ベッドの上に服を脱いで横になった。ゲルを塗られ胸にプローブが装着される。僕は目を閉じた。何分か経ち検査は終了した。問診でこの1ヶ月くらいのことを訊かれた。特に異常はないですと答えた。前回の検査の結果で、頸部を圧迫するような悪性腫瘍の疑いはない、と言われた。貧血もないが、炎症反応が少し高かったと言われた。生活の注意事項の確認をし、引き続きまた1ヶ月後に診察に来てねと言われ、今回の診察は終了した。
受付で会計と次回の予約をするために少し待った。これが終わると、隆の病室に面会に行くことになる。待ちながら、空腹に気がついた。そういえばもう4時近かった。売店でサンドイッチとパック牛乳を買って会計の待ち時間に食べた。そのうちまた会計から名前が呼ばれ、全部済んだのは4時過ぎだった。食べた後のゴミを捨てて、僕は入院病棟に向かった。