僕を止めてください 【小説】
約束通り写真集を借りて帰ってきた。
家に帰ると、母親がちょっと遅かったわね、と言った。図書館の司書さんと仲良くなって話していたと言うと、母親が驚いていた。友達がいないのを、いつも気にしているので、母親は驚いていたが嬉しそうでもあった。いつもの時間にいつものように夕食を母親と二人で食べた。父親は仕事が忙しく、いつも残業で遅い。もともと無い食欲は今日はさらに無く、ご飯を半分だけ食べて、おかずも残した。母親に体調を聞かれた。ダルい、と答えた。間違ってはいない。キシロカインのせいだろうか。
夕食後、いつものように2階の自室に上がり、学校の宿題を済ませると、例の写真集を開いた。見ている途中で彼の家で犯されたので、まだ半分も見ていない。胸がドキドキした。こんな感覚はまだ慣れない。だが、中断したページを探しているうちに、気持ちよさが膨らんでいき、性器が再び勃起してくるのがわかった。
椅子に座ったまま、机の上に写真集を開き、ズボンとトランクスを膝まで下ろした。僕は初めて、自分で自分の性器をしごいた。彼の家で出したみたいだったのに、僕のペニスはとても固くて、自分でも驚いた。だが、脈打つペニスを握っていると、生きている熱をそこに感じてしまい、いつもの違和感が生まれた。彼の家で失神した自分の方が自然に思えた。
自分で失神出来ないだろうか?
僕はこの熱を拒絶したかった。その為なら、自分で自分の首を絞めることも出来ると思った。