アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 僕には帰らなければいけない場所がある。
母が其処で待っているんだ。
殺してしまった母ではない。
島に置き去りにされた僕を本当の子供のように育ててくれた母だった。


だから尚更言えない。
心配掛けたくないんだ。


島の母は、僕が母と暮らしていると思っているはずだ。
だから、敢えて……そのままでいようと思う。
何時少年院を出られるのか判らないけど、その時が来るまで誰にも言わないでおこうと決めたんだ。




< 5 / 179 >

この作品をシェア

pagetop