ビター・スウィート
「でも、それでも言ってほしかった……」
微かな声とは裏腹に、手のひらに爪が食い込むほど強い力で、拳をぎゅっと握った。
「笑ってたんですよね、どうせ。惨めだって、バカにしてたんですよね」
「違う。そうじゃなくて……」
「無駄な気持ちなんてないわけないって、綺麗事言ってるって思ってたくせに!!」
行き場のない気持ちをぶつけるように、声を張り上げる。それとともに、ボロボロとこぼれ出す涙。
「永井、」
「もうここで大丈夫です。あとは一人で帰ります」
「おい、だからっ……」
話をしようと私の腕を掴む彼の手を、バッと勢いよく振り払うと私はその場を走りだした。