ビター・スウィート
「伝わらないのは、言ってないからじゃない?」
「え……?」
「拒まれるのは怖いかもしれないけどさ、気持ちがあるなら言わなきゃ。それこそ、俺に怒りながら言った時みたいにさ」
『だから、広瀬先輩が幸せになってくれないと嫌です!』
あの日、彼に思い切り言えたのは、伝わってほしいと願ったから。
じゃあ、内海さんには?
私、まだ気持ちのほんの一部しか伝えていない。どれほど好きか、とこが好きか、まだ何も伝えてないよ。
「ちーは、俺に『幸せになってほしい』って言ったじゃない?それと同じくらい、ううん、それ以上に俺はちーにも内海にも幸せになってほしいよ」
「広瀬、先輩……」
「ふたりとも、俺にとって大切な人だから」
頭を撫でたまま微笑み表情は、変わらない。いつだって、優しい笑顔。
「だからくじけるな。大丈夫だから。胸を張って、伝えるんだよ」
優しく力強いその声に励まされると、『大丈夫』本当にそう思えてくるから、不思議。
大丈夫、
胸を張って、伝えるんだ。
「はいっ……」
しっかりと頷いた私に、広瀬先輩はにこりと笑った。