キスから始まる方程式
「きっ、桐生君!?」
なんでこんなところで寝てるの!?
驚きのあまり、おもわず我が目を疑う。
雪が降ってもおかしくないこの極寒の中、野外で無防備に寝てしまうなど普通ならば到底ありえることではなかった。
と、とりあえず起こさないと!
混乱する頭と懐中電灯を片手に、ゆさゆさと桐生君の体を揺り起こす。
「桐生君っ。ねぇ、桐生君てば起きて!」
「……ん……、うん……。あと5分だけ……寝か……せろ……」
「えっ!? あと5分!? そんなこと言ってたら風邪ひいちゃうってば!」
「う……う~ん……」
完全に寝ぼけている桐生君を、問答無用でたたき起こす。
「ちょっと! 桐生君! 早く起きてっ!!」
「……んん……? あ……れ……? 七瀬? 七瀬が……いる……」
「んもうっ、いつまでも寝ぼけてないで、さっさと起き…………へっ……!?」
「ん……七瀬ぇ……」
「きゃっ」
そんな中、相変わらず半分寝ぼけている桐生君に突然引っ張られ、気が付くと私は仰向けに寝転んでいる桐生君の上に覆いかぶさるようにして倒れ込んでいたのだった。