キスから始まる方程式

「でさ……、七瀬はどう思う……？」

「えっ！？ ど、どう思うって聞かれても……」



翔は私に何を求めているのだろう……？


彼女と付き合いたいから、背中を押してほしいのだろうか。


彼女と釣り合っているか自信がないから、励まして勇気づけてほしいのだろうか。


それとも……私に引きとめてほしいのだろうか……。



私にとっては嬉しい最後の考えだけは絶対にありえないだろうと、現実を受け入れるためブンブンと顔を左右に振る。



「俺、どうしたらいい？」



更に言葉を続け問いかけてくる翔に、私の混乱が頂点に達した。



どうしたらいいのか聞きたいのは私のほうだよ……。


大好きな翔が他の女の子と付き合うなんて、そんなの絶対嫌に決まってるじゃないっ！



だがしかし、心ではそう思っているのだが意地っ張りで素直になれない性格の私は、その気持ちを口に出して伝えることが出来ない。


そんな私を急かすような翔の視線に、更に動揺する私。


パニックになった私の口をついて出たのは、なんとも愚かな引きとめるのとは正反対の一言だった。