キスから始まる方程式
翌日。
勉強そっちのけで一晩中悩み、やっぱり素直に翔に謝ろうと決めた私は、学校帰りを狙って翔を待ち伏せすることにした。
誰よりも翔のカッコよさを知っている私が翔本人にあんなことを言ってしまうなんて、いくら素直になれないからって自分が情けなさすぎるし許せない。
今回ばかりは、明らかに私に非があった。
早く……早く学校終わらないかな……。
テストも上の空で一日中そわそわしっぱなしな私。
ようやくテストが終わりいそいそと帰り支度をしていると、親友の麻優が血相を変えて勢いよく教室に飛び込んで来た。
「七瀬っ。七瀬ーっ!」
「あれ? 麻優、どうしたの? 一緒に帰るために迎えに来てくれたの?」
「ごめん、今日はちょっと用事があってダメなんだ」と苦笑いしながら麻優に言うと
「何のん気なこと言ってんの!?」
「え?」
「風間君、A組の南條さんと付き合うって本当なの!?」
「……っ!?」
南條さんと……付き合う……?
「……ごめん麻優、よく……聞こえなかった」
「だーかーらーっ、風間君、南條さんに告白されてOKしたってすっごい噂になってるよ!」
「付き……合う……?」
信じられない言葉が、麻優の口からこぼれ落ちたのだった。