キスから始まる方程式
「ねぇ冬真? ホームルームの時、七瀬ちゃんとな~んかただならぬ雰囲気だったけど……もしかして付き合ってるの?」
「っ!」
思いもよらない質問に、ドキッと鼓動が跳ねる。
一瞬目を見開いたように見えた桐生君は、相変わらず質問には答えようとせず黙り込んだままだ。
「ねっ? 七瀬ちゃん、冬真の彼女なんでしょ?」
一向にしゃべろうとしない桐生君から私へと視線を移した工藤さんが、ニコニコと笑顔で問いかけてくる。
「えっ!? あ、あのっ……そのっ……っ」
ストレートに聞かれて、あわあわと焦る私。
どうしよう……。でも「彼女です」なんて自分で言うのも恥ずかしいし……。
それに……
返答に迷いチラリと桐生君を見やると、相変わらず口を固く結んだ姿が目に映った。