キスから始まる方程式
「うっわー! 一面銀世界っ!」
昨夜降り始めた雪が一晩かけて積もり、街中を真っ白に染めあげていた。
はしゃぎながら外へと駆け出す。
例年、雪が積もることなど滅多にないため、物珍しさから余計にテンションが上がってしまった。
ズボッ
「キャッ」
深みに足を取られ、お尻から雪の中へ勢いよく倒れ込む。
「いったーい……って、あれ? 全然痛くない。アハハ、痛くな~いっ」
そう言ってはしゃぎ続ける私の背後から、突然聞き慣れた声が降り注いできた。
「バーカ。朝っぱらから何やってんだよ」
「!?」
慌てて振り向くと、昨日と変わらない子供みたいな笑顔で、楽しそうに翔が私のことを見下ろしていた。