ラベンダー荘(失くしたものが見つかる場所)
「こんなところにいた!」

 かおりが怒りながらアキラに詰め寄る。

「どうして勝手にいなくなるの!みんなどれだけ心配したか分かってる?」

「あ。」

「あ。じゃないわよ!」

 かおりに続いて、信也と優子が六角亭に入ってくる。

「うお。そばなんか食って。一人でよろしくやってるじゃねぇか」

 信也はアキラの隣に座る。

「おなかすいたぁ」

 優子は、へろへろになりながら向かいの席に座り込んだ。

 康孝は老婆の前に立って頭を下げている。

「すみません。俺としたことが、アキラと途中ではぐれてしまって」

「アタシはなにもしてないよ」

 老婆は頭を下げる康孝にさらりという。

「そうだね、あなたたちも何か食べていくかい?」

 康孝は信也たちの視線を受けて、うなずいた。

 そこへいつの間にいなくなっていたのか、アキラが人数分のお茶を持ってあらわれた。

 湯気の立つお茶をテーブルにおいていく。

「そばでいいな?」

 アキラの問いに、信也が唖然としながら口を開く。

「そばでいいけど……なにやってんだよ」

「働いてるんだよ。見てわかんないのか?」

「何か壊したのか?」

「別に。ちなみに、ここはあったかいお茶しか出さないからな。文句言うなよ」

 アキラは小さなキッチンに入っていく。

「なんだか、えらそうだな」

 信也はお茶に口をつける。
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