ミカとひろと
しばらく歩くと丘に着いた。



「なにすんのよ。突然こんな…。」



「どうしても、君に見せたくなって。
この景色。」



それは、さっきまで雲っていたのが嘘かのように、真っ赤な夕日が私達を、赤く染めた。



今まで見た事もないような、暖かな景色だった。



「なんかさぁ、いつもミカちゃん、悲しそうじゃん。


この世の終わりのような顔してるから。



ねぇ、何があって、君はひとりでいるの?
そんな眼をしてるの?」



「あなたには関係ない。」


「“あなた”じゃないよ。ひろと。」



「えっ?」



「僕の名前ひろとっていうんだ。
そう呼んでよ。ミカちゃん。」



…。なんてなれなれしいの!
もう無視無視!



しかも、なんかムカツクかも。あ〜もう!イライラする。



すると…



どうしよう。手が勝手に動く。目の前がボンヤリとする。



その時だった。
どうしよう。もう抑えられないよ。



気付くと彼の手を握っていた。


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