ミカとひろと
ひろと その4
君は僕を脅える目で見て、腕を掴む手を振り払った。


そして急いで走っていってしまった。



どうしたらよいか、わからない僕は何も出来ない。



小さくなる彼女の後姿を、ただ眺めている。



「おぬし!何つったってる!」



そんな勢いのある声で、ふっと我にかえった。



振り返ると、杖をついた、お爺さんがいた。



「おぬし10分ぐらい、じっとしてたぞぃ。



がっはっはっはっ…
うぇ〜ゴホッゴホッ…。」


大丈夫か……?
この爺さん……?



「うっおほっん!こりゃ失礼!



それよか、少し見させてもらったぞい。



おぬし、あの娘に逃げられたな。」



「はい…。
僕わるい事しちゃったかな。」



ため息をついて肩を落とした。



「そんな事はない。
あの娘はなぁ、人に嫌われとると言っておるが、



自分から心に壁をつくって、人を寄せつけないようにしてるんじゃ。



じゃが、わしはあの娘、本当は人を必要してるようにしか見えん。



それの裏返しだと、思うんじゃがのう。」



「…」



僕は何も言えなかった。
何も言えなかったけど、



心の奥の方で、熱く、強く思った。



君の事、もっと知りたい

そばにいたい

君にもう一度会いたい。






僕は急いで、彼女を探しに向かった。






っと、その前に……。



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