魔女の瞳
この時代、エリスのような人間は珍しくも何ともない。

魔女狩りに遭った者は、家族も本人も、全てを狂わせる。

魔女の嫌疑をかけられた者はまず間違いなく命を失い、生き残ったとしても村八分にされる。

大抵は魔女の嫌疑をかけられる者は身寄りがないが、もしいた場合はその者の家族も同様だ。

魔女狩りは何もかもを奪う。

人間としての生活も、尊厳も、命も、何もかも。

…私は歩き出す。

「メグ・デッドゲイトよ」

背を向けたまま名乗った。

「私は何も教えないわ。見たければ見てればいい」

「…はいっ!」

再びサクサクと雪を踏みしめて、エリスは私の後を追ってきた。

…別に同情した訳じゃない。

エリスのような境遇の人間にいちいち同情していたら、私の家は居候だらけになってしまう。

ただ…私はずっと一人で暮らしていたから。

たまには同居人というか、小間使いの一人もいれば便利かなと思っただけ。

ただそれだけ。

「言っておくけどタダで住まわせる訳じゃないわよ。貴女何が出来る?」

「掃除、料理、洗濯、何でも出来ます!!」

エリスは元気よく答えた。




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