魔女の瞳

現実

…これからって時に、嫌なもの見たわね…。

自室のベッドで、最悪な寝覚めをする。

すっかり外は暗くなっていた。

そろそろホムンクルスも活動を開始するだろう。

私も行動に移る事にした。

…その前に。

私は修内太のいる部屋へと向かう。

ノックしてドアを開けると。

「おぅ、四門」

ベッドから起き上がった修内太が、体をほぐしていた。

「一応訊くけど」

私は返答がわかっていながら、修内太に問いかける。

「本当にホムンクルスの始末に同行する気なの?この際だからはっきり言うけど、貴方がついてくると足手纏いなの」

「…その言い方は割と傷つく」

一瞬へこんだような表情を見せる修内太。

しかし。

「こんな危ない事を、女のお前一人に任せてられるか。俺もついていく」

そう言って彼は、左目の包帯を解いた。

…エリスの時もそうだったけど。

時々人間の中には、こういう変わった考え方をする者がいる。

長生きしてもせいぜい百年そこそこ。

ちょっとした傷で簡単に死んでしまう、『再生』の魔術すら使えない人間。

命は何より惜しい筈だ。

なのに何で他人なんかの為に、命を懸ける気になるんだろう…。



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