花の名は、ダリア

「今夜はお仕置きですケドね?」


俺はダリアに密着したまま、優しく、優しーく、微笑んだ。

彼女の頬がヒクっと引きつったのが、至近距離で見てとれる。


「ソージのその笑い方、最近コワいンだケド…
ナニ?お仕置き?」


「えぇ。
俺を妬かせた貴方が悪い。
貴方がいったい誰のモノなのか、その身体にとことん教えて差し上げましょう。」


「…痛くする?」


「噛むし縛るし、目隠しもアリかも知れませんねェ。
跡が残らないのが残念ですが。」


「…痛いじゃない。」


「嬉しいクセに。
痛みを感じた後に舌でやわやわと嬲られる快感を、もう貴方の肌はご存知のはずだ。」


「ぅぅぅー…
この、サドキチめ。」


「さど…なんです?」


「『サディスティック色気狂い』の略よ。」


「色気狂いは認めますケド、サディストは心外ですね。
下僕として貴方に尽くすことに、こんなに悦びを感じているのに。」


もう一度、優しく、優しーく微笑んで、ダリアの肩を抱いて歩き出す。

今夜もきっと、眠れない。

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