花の名は、ダリア

ダリアの言葉を思い出す。

『カワイイ女のコだったじゃない』

あぁ、そうだね。

彼女は悪くない。

明るく朗らかで。
野郎ばっかの職場で、それなりにやっていけるほど強かで。

それでいて、こんな顔をしていると、守ってやりたいと思わせる弱さも垣間見える。

たぶん、男が好む要素がたくさん詰まった女だ。

でも…

それがなんだと言うのだろう?


「や、帰る。
おまえんチにゃ、用はねェし。
ダリアが待ってっし。」


ソージは袖を掴むクララの手を、幾分邪険に振り払った。

空になった手を握りしめたクララが、下唇を強く噛む。


「あの、綺麗な女性ですか?

ソージさんの恋人なの?」


「そう…
と言いたいけど、違う。
あの人は俺の、唯一の花だ。
俺はあの人の、下僕で奴隷で飼い犬だ。」


「…
自虐ネタ?」


「失礼か。
大真面目だわ。
あの人を俺だけの花でいさせるためなら、俺はどんなクソにでもなれるよ。」


愛の奴隷宣言どころか、愛のクソ宣言キタ。

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