花の名は、ダリア

同時刻。

ある狭い独房で、以前の二人が言葉を交わしていた。


「結果はどうだった?」


「なんの話だ?」


「今日の実験…
例の双子だったンだろう?」


「あぁ、アレ。
アレはまた別だよ。
まぁ、予行演習とでも言おうか。」


「なんだって?
まさか… また成功の見込みのない実験で、命を弄んだのか?」


「面白いことを言う。
貴重なデータの収集作業だよ。
価値のないゴミ共を、有意義に活用してやっているのだ。
ヤツらだって感謝してるさ。」


「なんてこと…
神はお許しにならないぞ。」


「ハハハハハ!
おまえは本当に面白いことを言う。
我が手は神の手。
我が意は神の意。
神は、我々アーリア人と共に在るというのに!」


やはり今日も、高笑いを残して一人の男は去った。

もう一人の男は鎖に繋がれたまま、閉じられた鉄の扉を見つめて低く呟いた。


「君たちの神は、そうかもね。
でも…
僕の神はなんて言うかな?」


伏せられた顔にかかる前髪のせいで、男の表情は読めない…

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