花の名は、ダリア


「ねェ、ダリアさん。
あのクソヤロー、なんで煙なんて噴いてたンですか?」


しゃがみこんで、集めた小石を慎重に積み上げながら、ヨシュアはダリアに訊ねた。

遊んでンの?って?

ちーがーいーまーすー。

ソージが洞窟で眠っている夕方のこの時間に、森に仕込んだ罠に今晩の夕飯がかかっていないか見て回るのが、ダリアとヨシュアの仕事なのだ。

そのついでに、冬眠中のヘビを見つけてキャっキャ言ってみたり、今にも切れそうなロープを拾ってロシアンターザンしてみたり…

いやいや。

遊んでるワケじゃねーから。
コレほんと。


「陽射しを浴びて焦げたのよ。
『貴族』はお肌がデリケートだから。」


これまた慎重に小石を積み上げながら、ダリアは答えた。

どうやら今日は捕獲した野ウサギを傍らに放置したまま、バランスロックに挑戦中のようだ。

もう一度言っておこう。

遊んでるワケでは、ナイ!


「え?
貴族って…
アイツまさか、エラい人?
クソヤローなのに?」


「んーん。
そーゆー貴族じゃないわ。
ソージはヴァンパイアなの。」


「‥‥……は?」

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