花の名は、ダリア

どこか寂しさを漂わせたダリアの瞳に促され、ヨシュアは脳を再起動させた。

怖いのか?
彼らが?

彼らと出会った時。
彼らと過ごした時間。

そして、今。

恐怖を感じたか?

いや、違う。

俺が恐怖を感じたのは。

俺が怖いのは…


「ダリアさんは怖くない。
あのクソヤローも、クソヤローだけど怖くない。
俺が怖いのは、人間だ。」


散らばった小石を手に取って、ヨシュアは呟いた。

一つ積んで。
もう一つ積んで。

壊してしまう。


「ダリアさんにはわからないかも知れないケドさ。
人間って怖いンだよ?
住んでる国とか、肌の色とか信じる神とか。
そういうどーでもイイような違いを理由に殺し合う、恐ろしい生き物なンだ。」


一つ積んで。
もう一つ積んで…

冷たくなった指先の感覚が失われていき、また壊してしまう。

壊してしまった石のオブジェは、もう元に戻らない。

壊してしまった命も、もう元に戻らない。

なのに壊して。

同じ人間同士、壊して、壊して、壊して…

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