花の名は、ダリア

ガラガラ…

集中力を途切らせたヨシュアの手が触れて、積んだ小石が崩れてしまった。

あーあ、なんて溜め息を吐いたダリアが、大袈裟に肩を落とすが…

誰のせいだと思ってやがりマスカ。

でもね?
そんなお伽噺で動揺しちゃったとか、カッコ悪いからね?

ヨシュアは意図的に余裕の笑みを浮かべる。


「まったまたぁ…
ヴァンパイアって、あの、血を吸うアレ?
コウモリに変身したりするアレ?
冗談ばっかなンだから。」


だがダリアは…


「冗談じゃないわ。
コウモリにはなれないケド、人間の血は吸うわよ。
ほら、見て?」


細い指で上唇をチョイと持ち上げ、上顎の歯を剥き出しにした。

そこには、八重歯なんて可愛いモンではない、
鋭く尖った牙が…

もうカッコ悪いとか言ってられませんて。

ヨシュアはポカンと口を開けたまま言葉を失い、完全にフリーズした。


「ソージはヴァンパイア。
太陽の下でも平気だケド、私もヴァンパイア。

ねェ、ヨシュアは私たちがコワい?」


……怖い?

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