花の名は、ダリア


ソージが目覚めると、誰もいなかった。

ヨシュアに襲いかかられて目を覚まし、返り討ちにして、ダリアが笑いながら止めに入るのが、最近のお約束だったのに。

今日は誰もいなかった。

ナニコレ?

アイツら、ドコ行った?
俺、ハブられた?

夕闇が迫る森を捜索すると、二人の痕跡はすぐに見つかった。

集められた大量の小石。
食材予定の野ウサギが入った網。

それから、軍靴と思われる複数の足跡…

ナニコレ?

こりゃ、本格的にハブられたみてェだな。


「チっ」


端正な顔を歪めて舌打ちしたソージは、SSコートの裾を翻して黒い風になった。

俺をボッチにするとか…
イイ度胸だな、クソが。

あっと言う間に悪名高き絶滅収容所に辿り着き。

跳び越えることもできるクセに、ナゼか高圧電流が流れる鉄条網のフェンスをブチ破り。

ダリアの血の匂いを頼りに直行すればイイのに、ナゼかアチコチ寄り道したりして…

第10ブロックの前に立ったソージは、普段の彼ではあり得ないほど息を切らしていた。

や、猛ダッシュしたンデスヨ、まじで。

ヴァンパイアと言えども、限界突破するとキツいモンはキツいね。

< 273 / 501 >

この作品をシェア

pagetop