花の名は、ダリア

それでも休むことなく両足に力を込め、高く跳び上がる。

二階の窓を屈めた全身で突き破ったソージは、そのまま赤レンガの建物に転がり込んだ。

すると…


「やぁぁぁぁぁ!」


暗がりから、棍棒を振り上げて走り寄ってくる小さな人影。


「クソが。」


ソージは立ち上がることもなく、頭上に振り下ろされた棍棒を掴んで奪い取り…

ゴンっ


「ぎゃっ!?」


逆に、襲撃者の頭をブっ叩いた。


「何度教えりゃ覚えンだ。
得物は振り被ンな、クソガキ。」


「痛ってぇ…
…え? クソヤロー?」


聞き覚えのある声と、聞き覚えのあるムカつく呼び方。

涙目で頭を抱えて蹲る襲撃者は、ヨシュアだった。

うん。
暗くても、最初から見えてた。

このコ…
こんなトコで、一人で、いったいナニやってンの?


「おまえ、ナニやってンの?
片割れには会えたの?」


身を起こしたソージは、転がった時についた膝の埃を払いながら、ヨシュアに訊ねた。

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