花の名は、ダリア

そして、縋るように胸に抱きつき、ソージの顔を揺れる瞳で下から覗き込む。


「ごめんね?大丈夫?
錯乱するほど痛かったのよね?
ごめんね?ごめんね?」


「え… え?」


「放っといてくれても、私なら平気だったのに…
ごめんね?本当にごめんね?」


「…///」


いや、錯乱はしてねェケドも。

死にそう。

撃たれて、じゃなくて。
ダリアが可愛すぎて。

銃なんかじゃ死なない俺を、心配してくれちゃうンだ?

大きなぺールブルーを潤ませて、白い手を小刻みに震わせて、血で汚れた俺の頬に触れてくれちゃったりするンだ?

もう死にそう。


「大丈夫ですよ。
てか、ダリアを放っとくなんて、できませんって。」


ソージはダリアの背中に両腕を回し、血がついた色のない唇に軽く口づけをした。

互いが浴びた誰のモノかもわからない返り血が、互いの唇の上で混ざりあう。

ソフトでありながら凄まじい。
なんてヴァンパイアらしいキス。


「俺にとっては、自分の傷よりも貴方の傷のほうが痛むンです。
心配なんてしてないで、姫のピンチに颯爽と駆けつけた騎士を褒めてください。
なんだったら、惚れてください。」

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