花の名は、ダリア

呼ばれた気がして振り向けば、口元を両手で覆った、泣き出しそうなダリア。



まさか…
弾、当たっちまったか?


「どどどーしました?」


棍棒をカランと床に落としたソージは、震える声で訊ねた。


「落ち着いて、ソージ…
膾斬る前に、もうみんな瀕死よ。」


「へ?」


間抜け面で足元を見れば…

白目剥いてる。
痙攣してる。
泡吹いてる。

十数人の兵士たちが、虫の息で転がっている。

いつの間に?

やっぱ俺、得物なくても最強伝説!YEAHHHHHH!!

って、浮かれてる場合じゃねェって。

ダリアにケガはなさそうだし…
ひょっとして、この惨状見て泣きそーになってンの?

ダリアは基本、人間の命を大事にしてるし…
俺がヤラカしちゃったコト見て泣きそーになってンの?

俺のせい!?
俺のせいか!?


「えと… コレはその…」


「ソージ!」


なんとか言い訳を捻り出そうとするソージに、ダリアが駆け寄った。

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