花の名は、ダリア

「ダリア、コイツは」


「ソージに任せるわ!」


有無を言わさぬ一言を残して、ダリアは手術室から出ていった。

おいおい、まじか。
任されちゃったよ。

ソージはポリポリと頭を掻きながら、惨劇の現場を見渡した。

そこら中に飛び散った血。
息も絶え絶えに横たわる男たち。

そして、未だ泣き続けるヘタレ大尉。

コレ、どーしようか?

サドキチなんかに任せちゃったらどういうコトになるか、ダリアだってよくわかってるだろうに…


「あのダリアを怒らせるなんざ、おまえらよっぽどだな。」


ソージは呆れ顔でトーデスエンゲルを見下ろし、もう一度彼の膝を足でつついた。

途端に泣き声が激しくなる。
足に腕が絡みつく。


「殺さないで…
お願いだ、殺さないで…」


涙でグシャグシャになった顔を上げたトーデスエンゲルは、しゃがみこんだままソージに縋った。

コレ…
蹴っ飛ばされちゃうンじゃないの?


「バカだな…
俺がおまえを殺すワケねェだろ?」


なんということでしょう!

ソージは貫一キックを繰り出さず、優しく微笑みながらトーデスエンゲルの前に片膝をついたではありませんか!

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