花の名は、ダリア

誘いに乗ってやろうじゃねェの。

喰らいついてやろうじゃねェの。

そして…
餌を差し出すその手まで、噛み砕いてやろうじゃねェの。

今まで逃げ回っていたクセに、なんの心境の変化でこんな真似をしでかしたのかは知らねェが、この機会にカタをつけてやる。

ダリアと同じ時を生きるのは、俺だけだ。

火を止めれば、パラリと香ばしいパエリアの出来上がり。

冷蔵庫からカプレーゼを取り出し、


「出来ましたよ。」


と声を掛ければ…


「わーい!」


なんてダリアが飛んできて、テーブルに食器を並べだす。

もう、夕飯前に彼女をつまみ食いする気はない。

パエリアを食べて。
バイトに行って。

辞めるコトを伝えてこよう。

お別れを言って。
そして帰って。

じっくり、みっちり、彼女を抱こう。

コスプレ好きの中二ヤローに会う前に、ダリアにも教えてやらなくちゃ。

自分がいったいダレのモノなのかを、無垢な心と奔放な身体に刻みつけてやらなくちゃ。

そうだな…
飲まず食わずでも問題ないワケだから、三日間はブっ通しで。

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