花の名は、ダリア

中二爆発真っ只中の世界征服志望ヤローが主催するイベントは、どうやら大盛況のようだ。

数種類の背景布や照明を完備した、本格的な撮影ブース。
人気同人作家のイラストが飾られた、コミケブース。
衣装を汚さないよう配慮した、ストロー付きのフリードリンクが用意された休憩ブース。

その他諸々、会場は、現実をちょっと逸脱してみたい若者の心を擽る、細やかな気配りに溢れている。

さすが現役発症者の発想と言ったトコロか。

だがしかし、財源はどーなってンだ?

会費制とは言え、ここまでの規模なら初期費用もバカにならないだろう。

でもって、わざわざ大勢の人間を集めた場所に誘い込んで、ナニを企んでンだ?

サムの狙いがサッパリ読めない。


(こんな目立つ場所で大立ち回りもできねェし、今日は様子見程度でとっとと退散するか…)


そう考えたソージがダリアの腰にさりげなく腕を回した時、派手な音楽が鳴り響いて…


「みーんなー!
こーんにーちはー!」


スポットライトに照らされたステージに、セーラー服を来た女が現れた。

頭に黄色いリボンを巻き、腕には『団長』と書かれた腕章をつけている。

死ね死ね団…
じゃねェよな?もちろん。

世界を大いに盛り上げる、アレか…

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