花の名は、ダリア

白を基調にした、なんだかゴテゴテと飾り立てられた部屋。

ファントムが嬉々として落としそうな、あたたかな光を醸し出す豪華なシャンデリア。

意味があるのかないのかよくわからないフサフサがついた、赤いラグ。

ソージがいる透明な檻の外は…
なんつーか、ベルサイユ。

ナニコレ?
ココもコスプレ会場なの?


「あー…
ちょっとソコの、オス○ルくん?」


ソージは、ロココあるあるの猫足ソファーに座った後ろ姿の人影に、頭を掻きながら声を掛けた。

すると、ソイツが立ち上がる。

そしてゆっくりと振り返り…


「あれ?
思ってたよりも小さいね。
ナチスの将校たち相手に鬼神の如く暴れていた君は、もっと大きく見えたケド。」


優雅な動作で指を顎に当て、軽く首を傾げた。

金髪碧眼。
けれど、ダリアのソレよりも色合いが濃い。

若干鷲鼻ぎみで骨格がシッカリした男らしい顔つきなのに、タレ目のせいで柔和且つ甘えん坊サンに見える。

中世風のジャボタイつき白シャツと黒いパンツという、一見軟弱そうな格好をしているが、長身で肩幅が広く、抱きしめられると安心できそう。

納得のマダムキラー系男子だ。

得意のシノギは結婚詐欺だろ。

< 346 / 501 >

この作品をシェア

pagetop