花の名は、ダリア

「え?え?
ナニソレ?」


額に湿った感触が走り、サムは眉を顰めた。


「油性マジック。
おい…動くなよ。」


ペン先が思うように滑らなくなり、ソージも眉を顰めた。


「嘘っ!?
書いてンの!?
ナンテ書いてンの!?」


「『肉』」


「『肉』!?
油性で『肉』とか、君、正気!?」


「おまえ、伯爵は廃業な。
キン○星の王子に昇格だ、オメデトー。
はぁ…
時間がなくて、こんな嫌がらせレベルなコトしかできねェとか…
自分が情けねェわ…」


「この短時間でこんだけ人の心折れりゃ、大金星じゃない!?」


悔しそうに唇を噛むソージに、為すすべもなくキン○星の王子にされたサムが、涙目で抗議した。

いやいや。
コレで終わりじゃないからネ?

上部が斬られて檻ではなくなったガラスの箱に、サムの生首を無造作に投げ入れて。

早く、早く、と急かすダリアを片腕に抱き上げて。

ラグの上に落ちていたリモートスイッチに、足の爪先を近づけて…

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