花の名は、ダリア

「二つ、おまえに言っておくコトがある。」


転がる生首に、ソージは優しく微笑みかけた。


「まず一つ目。
そんなチャチぃ檻、いつでも斬れた。
おまえの涙ぐましい策略が笑えたから、ちょっと付き合ってやったダケだ。」


ナニソレ、ヒドい!?

だが、今のサムには文句を言う余裕はナイ。


「次、二つ目な。
おまえ、香水つけすぎ。
ココまでくると、もはや悪臭だから。
おまえ自身が公害だから。」


やっぱヒドい!?

だがやはり、サムには文句を言う余裕はナイ。

サファイアの瞳を大きく見開き、ソージの足元を凝視し続けている。


「ナニをする気だ…?」


「すぐにわかるよ。
俺はおまえみたいに、勿体ぶったりしねェから。」


一際優しく、優しーく微笑んだソージは…

躊躇いもなく、スイッチを、踏んだ。

放たれた青白い光から逃れるように、ソージはダリアを抱えたまま天井の穴に向かって跳ぶ。

背中を追ってきた呻き声は…


『グ…アァァァ… マダ…ダ…
シマ…デ… マッテ…ル‥‥‥ヨ…』


とりあえず今は、無視の方向で。

< 373 / 501 >

この作品をシェア

pagetop