花の名は、ダリア

「おまえ、俺に感謝しろよ。
俺がいなきゃ、おまえは電波でバカの上、大量殺人鬼になっていた。
人生詰んでンだろ。」


とんでもないコト言われてる。

なのに、さっきみたいに腹が立たない。


「アレは修験者なんかじゃねェよ。
人間に戻るコトもない。
アレは、人間を喰らって永遠に生き続けるバケモノなンだよ。」


今度は仲間のコトまで…

なのにやはり、腹が立たない。


「そんな教えはなかったってか?
当然だ。
あのバケモノは、おまえらが信じるクソ伯爵がおまえら人間に血を与えて作った、ヴァンパイアの成り損ないなンだからな。」


その目で見つめないで。
もうナニも言わないで。

磐石だと思っていた足元が崩れ去ってしまう。

信じない。
信じてはいけない。

そうよ…


「ハ…
ハハ、冗談も程々にしてよ。
ヴァンパイアだなんて…」


「あら。
ソージの言ったコトは、全部ほんとよ。」


顔を歪めたカオリが懸命に絞り出した言葉を、ダリアがアッサリ遮った。


「そんな…
『ノエル』、あなた様まで…」

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