花の名は、ダリア

なんてこった。

自分以外のほとんどの者は、目を覚まし始めていた。

ほんと死にたい。

だが、反省は全てが終わってからだ。

怖ェ怖ェ言いながらバックレられねぇ俺って、ヘタレっスよねー、なんて頭を掻くタナカを見つめて、カオリは溜め息を飲み込んだ。

考えろ。
考えろ。

どう終わらせるのがベストなのか。

今、自分一人で身を隠し、逃げることは難しくないだろう。

だが、他のみんなはどうなる?

目の前にいるタナカのように、恐怖故に従い続ける者もいるだろう。

それどころか、マダムキラーの魅力と話術に引き込まれ、再び信仰を深める者もいるだろう。

見過ごせるわけがない。
見捨てられるわけがない。

それに…


(真実が知りたい…)


メガネの奥のカオリの瞳が、知的好奇心でギラギラと輝きだした。

修験者の一部は『穢れし者』。
後の残りは『穢れし者』の餌。

修験者に噛みつかれたというタナカの話で、ダリアとソージに聞かされたコトは一気に現実味を帯びた。

けれどまだ、仮定の段階。
この目で確かめたわけじゃない。

今こそ行動しなければ。

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