花の名は、ダリア

それがナニを意味するか。

殺されるのだ。

少なくとも、人間としての生は断たれるのだ。

カオリは項垂れ、血が滲むほど唇を噛みしめたが…


「どっちもゴメンだ!」


タナカは威勢よく叫び、前に進み出た。


「おまえの嘘は全部暴かれた!
罪を償わせてやる!
このペテン師…いや、人殺しめ!!」


眉を吊り上げて、大股で怪物に近づくタナカ。

笑みを深くして、ゆっくりとチェアから立ち上がる怪物。


(いけない…)


カオリは呼吸すら忘れて、パーカーの胸元を強く掴んだ。

タナカは勘違いしている。

確かに、人懐っこい笑顔を浮かべる金髪のマダムキラーは、地下にいたバケモノよりもまともに見えるだろう。

身長はあまり変わらないが、優雅な中世風のシャツに包まれた身体はラグビーをしていたタナカよりも明らかに華奢で、簡単に押さえ込めるように見えるだろう。

だが、違うのだ。

姿形は同じでも、この男は人間ではない。
あのバケモノよりもっと危険な、ヴァンパイアなのだ。

カオリはタナカを止めようと、パーカーから手を離し…

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