花の名は、ダリア

それ以上の会話はない。

視線を絡めて。
瞬きを一つ。


「私はココよ、このヘボバッター!
そんなんじゃ、いつまで経っても当たらないンだから!」


ダリアがそう叫んでカシラを挑発した時、ソージは一歩下がって息を潜めていた。

体力的に、チャンスは一度。

集中しろ。
一瞬でケリを着けろ。

無意味に暴れ狂っていたカシラが、ダリアを視界に捉えた。


「グアァァァァァ!!!」


吼えながら、唾を撒き散らしながら、カシラが柱をスイングする。

辺り一帯の全てを薙ぎ払う勢いで振られたソレを、ダリアは片手一本で…

止めた。

その時、風が、動いた。

風が、ダリアの手から刀を攫い。
風が、止まった柱を駆け登り。
風が、軽やかに跳躍し…

一本目の刃は、カシラの心臓を貫いた。
二本目の刃は、カシラの首を刈った。

床に落ちたカシラの首は、渾身の力で振った柱をダリアに受け止められ、驚愕した時の表情のまま固まっていた。

次の瞬間に風が命を奪ったことなど、気づいた様子は微塵もなかった。

その剣技、まさに神速。

風はソージに姿を変え、華麗に床に…

ん?あれ?
床じゃなくて、カシラの頭に?

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