花の名は、ダリア

ソージは体勢を変え、片膝立ちになった。
そして、手を握るダリアの指に恭しく口づける。


「約束します。
貴方を悲しませるようなことはしません。」


「…
絶対に?」


ダリアの瞳が揺れる。

後ひと押し。
もうすぐ出るゾ。


「絶対に。
俺は心ごと貴方に跪く、下僕で奴隷で飼い犬です。」


「よかった!約束よ!」


思った通り。

出たよ。
可愛いエクボ。

あどけなく笑うダリアを見て、ソージも彼女の指に押し当てたままの唇を綻ばせた。

チクショー、ほんと可愛いな。

悲しませないとは言ったケド。
下僕で奴隷で飼い犬だとは言ったケド。

啼かせないとは言ってマセン。

『アレだけ好き放題しといて』
なんて叱られたってコトは、昨夜の夢は全て夢ってワケではないンだろう。

でも、ドコまで?

俺がナニをどーしたら、彼女はどーなった?

どんな表情で?
どんな声で?

そんな朧げな記憶で、満足できるわきゃねェンだよ。

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