花の名は、ダリア

「さぁ、とりあえずココを出ましょう。
アウトロー集団が戻ってくるかも知れませんし、帰った女たちの身内が官軍に申し立てたかも知れませんし。」


ダリアの手を握ったまま立ち上がったソージが、壊れた扉に視線を送りながら言った。

すると、繋いだ手がもっと強く握り返される。


「うん!
あのね?森の奥に祠があったの。
木が生い茂ってて、日に当たらずにソコまで行けるわ。
夜が来るまで隠れていよう?」


「もう隠れる場所を探して下さったンですか?
仕事が早いですね。」


「うふふ。
慣れてるもの。」


ヨシヨシと頭を撫でると、ダリアは心地好さげに目を細める。

猫みたい。
喉がゴロゴロ鳴りそうだよ?


「ソージも裏の井戸で水浴びしてくるといいわ。
その間に、着物を盗ってきてあげるから。」


「へ?盗ってくる?」


「おっきい荷車の中に、色んなモノがあったの。
ココにいた人たちが集めてたのね。
コレもソコから盗ってきたのよ。」


振り袖を広げたダリアが、軽やかに一回転する。

全部見えてマスって。

もう… ナニモカモが雑すぎる。

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