俺の隣 ~ルームウェアに込めた想い~
俺が向かったのは、さっき見かけた下着屋さんだった。
男一人で入るのは勇気がいるようはお洒落な店構えだった。
「いらっしゃいませ!」
俺を迎えてくれた若い女性は、俺の顔を見て、驚いた表情をした。
俺自身も気付いていなかった。
俺の目からは、涙がこぼれていた。
入口付近に立つマネキンが着ていたルームウェアを指差した。
「あれ・・・新作ですか?」
「はい!今年の冬の一押し商品です。彼女にプレゼントですか?」
店員さんは、俺を元気付ける為か、明るい声で対応してくれた。
店の中は、甘い香りが漂っていた。
少し、由香の香水の匂いに似ていた。