正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
「・・・でもお前がここ最近様子がおかしかった時は正直焦ったよ。成田ともやたらと密着してるし、あと数日この状態が続いてたら俺は限界だったかもしれないな」

「ごめんなさい。夢中で話し込んでたからそんなことに全然気が付かなくて・・・これからは気をつけます」

「成田の奴、お前が夢中なのをいいことにどさくさに紛れていつもより密着してやがったんだろうな。今度会った時はお礼だけじゃなくて釘も刺しとかないと・・・
ったく、油断も隙もない奴だ」

「そんなことはないと思うんですけど・・・」

「いーや!あれは絶対わざとだ。役得だとか思ってたに違いない」

「潤さん、子どもみたいですよ」

クスクス美羽の笑いは止まらない。
自分でも何をムキになってるんだとは思うが、気に入らないものは仕方がない。
成田は既婚者とはいえ美羽をいたく気に入っているのだ。可愛い妹分として猫可愛がりなところがある。それは御堂にも言えることなのだが、成田の場合男だから話は別だ。
我ながら独占欲の強さに呆れかえる。俺たちはしばらく向かい合って笑った。



それから、美羽の作ったおいしい料理の数々に舌鼓を打った。
彼女の想いが一つ一つにこもっているのが伝わってきて、お世辞抜きでおいしかった。俺がうまいうまいと食べる姿を見て、美羽は時々涙ぐみながら喜んだ。俺のために今日一日ずっと一生懸命作ってくれたのだろうと思うと、俺まで胸が熱くなった。
美羽はこの前の買い物のことなど、今日までしたくてもできなかった話を次々にしてくれた。彼女がどれだけこの日を楽しみにしていたのかが伝わってきて、聞いているだけで俺も幸せな気持ちになった。
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