君の一番になりたくて
お見舞い。

そんなこんなで数日後。
「ゴホッ・・・。」
「もー、お兄ちゃん。
なんで風邪ひいてるの!?」
「俺に聞くな・・・。」
「バカは風邪ひかないっていうのに。」
「俺はバカじゃないんだよ、
悪かったな妹よ・・・ゴホッ。」
そんな他愛もない会話。
そうです、風邪ひきました。
玲の風邪がうつったんだな。
・・・キスしたわけでもあるまいに。


「もー、私学校行くからね。
ちゃんと薬飲んで休んでるんだよー!」
「お前はいつからそんなお母さんみたいな子になった。」
「こんな兄貴がいたら嫌でもなる。」
「すいません。」
ため息交じりに玄関を出た妹。
俺の家庭は別に両親がいないわけではない。
ただ共働きで、両方海外へ飛び回っているため、家を不在にすることが多い。
おかげで妹もしっかりした子に育ってるけどな。
「・・・て、俺は父親か。」
はぁ、とため息をつきながら寝返りをうつ。
すぐに睡魔が襲ってくる。
気づけば俺は夢の中にいた。


「ハル先輩・・・。」
どこかで玲の声がした。
・・・声で分かるとか、
変態じゃねぇの、俺。
「・・・ん?」
違和感を感じ、バッと布団をはがす。
「あ、」
「あ、」
声が重なる。
そこにいたのは、
他の誰でもなく玲で。
「な、なんで・・・。」
「お見舞い、です。」
そういって彼女は微笑んだ。
< 15 / 15 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop