褐色のあなたに水色のキミ
春日園のイケメン
翌日、いつもの時間に出勤し、いつもと変わらず仕事をこなした。


私から、山田さんに連絡はしないと決めた。山田さんもきっと、久しぶりに私と会ったから、一夜限りのつもりで、私を抱いたんやろう。


恋愛経験が少なくても、三十路にもなれば、それくらいわかる。連絡も、こないやろう…。


そう思っていた、ランチタイム。いつもはおとなしい私のスマホが、ブルブルと震えた。画面には『山田一誠』の文字が躍っていた。


『もしもし?』


『しおりちゃん?山田です』


声を聞くと、昨日、抱かれた温もりを思い出し、身体が熱くなった。


『しおりちゃん、今、ランチタイムやろ?オレ、車の中で弁当食べてる』


ルートセールスの人は、ずっと外回りでランチタイムもないんかな?弁当って、愛妻弁当かな…。そう思うと、熱が少し冷めた。


『私も今日は、オフィスでお弁当食べてるよ。給料日前やから』


『そっかぁ…。あの…また、会いたいんやけど…』



いきなり、そんなことを言い出した。会いたい=セックス…ってことやんな?


『昨日、会ったとこやのに?』


『それは、しおりちゃんが好きやから。毎日、会いたいくらいや』



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