褐色のあなたに水色のキミ
息が触れ合うほど近い距離で、見つめ合う…。息ができなくて、思わず顔を横に向けた。


「もっと顔、見せて?」


ゆっくりと顔を元の位置に戻されると、唇が触れ合い、目を閉じた。


くちづけはやがて、激しいキスに変わり、長い舌が私を惑わせる。


私は、一誠さんを…あのころと同じ気持ちで好きなんやろうか?ただ寂しくて、あのころの自分が、一誠さんに愛されていたころの自分が、羨ましくて…。あのころの自分に戻りたくて『好き』を演じているだけやないの?


キスの嵐の中を、自問自答してみる。応えを出せぬまま、彼の指先の魔法で甘くとろけてゆく…。そして今夜も、曖昧な想いのまま、彼と結ばれる。


その、赤ではない糸は、いつほどけてもおかしくないほど、弱く、儚い。




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