褐色のあなたに水色のキミ
10年前
…10年前の夏…


『女の子2人?良かったら、オレらと遊ばへん?』


海で、ナンパ男に声をかけられた。ひとりは、日に焼けて、見るからに遊んでそうなチャラ男。でも、もうひとりは、色白で、細いフレームの眼鏡をかけた、インテリ風味な男。それが、山田一誠との出逢いだった。


自己紹介のあと、友達はチャラ男と意気投合し、恋愛経験もない私は、インテリ風味な男を前に、どうすれば良いか、戸惑っていた。


『しおりちゃんは、おとなしい子やね』


優しく話しかけてくれる山田さんに、ドキドキが止まらない。おまけに上半身裸(水着やから、当たり前なんやけど)。目のやり場にも困っていた。


友達とチャラ男が海で遊ぶ姿を、砂浜から山田さんと2人で並んで座りながら、眺めていた。


山田さんは、穏やかな口調で話しながら、私の緊張を解いてくれた。少しずつ、私が話せるようになったのを確認すると


『オレらも、海で遊ぼうや?』


優しい笑顔を見せて、私に差し伸べられた、手。戸惑いながらも手を取ると、2人で渚にかけていった。

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