雨の日は大声で歌をうたおう
馬鹿になろう
社会人一年目の時だったから、23歳になったばっかりの頃だったと思う。
漢文をレ点とか付いてない原文まんまで読んだりする学科を卒業し、
パソコンなんてほとんど触ったことないのに
何を思ったのか地元に本社を構える小さなソフトウェアの東京営業所に就職し、
私はプログラマーになっていた。
大学で勉強した孟子の教えなんか全然役に立たなくて
パソコンでプログラミングする意味が解らなかった。
間違った場所に来てしまったな、と途方に暮れる毎日。
私は文章に携わる仕事に就きたい、と思ったけれど
具体的に何をしていいのか、はたまたどういう職業があるのかも解らなかった。
ある日、田舎の母が電話で「あんたには才能があるのだから文章を書けば?」と
言った。
無性に腹が立った。
そんなに簡単に言ってくれるな、と。
親の贔屓目でそんな、私のことを才能がある、とか言わないで欲しい。
私以上に書ける人は多くいて、
しかもやる気もあって、そういう人達ですら職業として文章を書くのは難しいの
だ。
それに私は23歳で何かを始めるには年を取り過ぎている。
私はそういうことを一気呵成に言って、そして泣いた。
嗚咽して何も話せないくらいに。
いっぱい泣いた次の日のこと。
職場の先輩が「自分自身に限界を作るな」という話を朝礼でしていて
私はあまりにもタイムリーに昨晩の自分のことを言われてる!と、また泣いた。

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